cream Soda * 2008年10月号 

情報

太陽光発電・オール電化地球温暖化について

暮らしやすく、発展し続ける社会を創る 大きなチャンスが来た!

ー 低炭素社会を構築するための自然エネルギー普及策 ー

京都議定書の目的達成と“洞爺湖サミット”

 地球温暖化防止をはじめとする環境問題、増え続ける世界の人口と資源・エネルギー・食糧・
水問題、経済格差などが議論された洞爺湖サミットが終了した。まずは大気中のCO2濃度を減少に転じさせ、2050年に先進各国は、このCO2濃度をマイナス60%から80%(1990年比)に削減しようと合意した。

 この合意内容を実現する低炭素社会は、今とは全く異なった社会となるのであろう。徹底した省エネルギー社会であり、使えるエネルギーは持続可能な範囲での自然エネルギーということになるだろう。半世紀以上にわたって研究され続けてきた核融合は、いまだ実用化の入り口すら見えず、資源的にも制約要因が大きい原子力に過大な期待をする時は過ぎた。いまや持続不可能な化石エネルギーから持続的発展が見え始めた自然エネルギーへと大きく舵を切らなければならないことは明らかである。

 そこで低炭素社会へ向かうために国や地方自治体そして企業や環境NGOやNPOの立場と役割について考えてみよう。

CO2削減案と新エネルギー

 京都議定書の約束期間に入り、洞爺湖サミットに向けて様々な国際交渉や会議が相次いだ。
洞爺湖サミットは、京都議定書以降のCO2削減策に重点が置かれ、エネルギーと食糧問題がいろいろな角度から議論されたが、私たち日本人はいま何から手をつけるのがよいのだろうか?

 本誌(『ソーラーシステム』/(株)ソーラーシステム研究所発行)のミッションである自然エネルギーの普及というカテゴリーで国は、新たに普及促進策を打ち出すことを公約した。本誌の発行後ほどなくすると政府から平成21年度の概算要求案が出されるはずである。この概算要求案には、洞爺湖サミットでの公約を実現するための各省庁の基本政策が反映されるものと思われるが、優先課題は京都議定書で公約した内容の遵守であることに間違いあるまい。

 となれば、国はCO2削減の進まない業務・家庭用分野での省エネ・新エネ対策が新たに盛り込まれることになる。経済産業省と環境省が進めようとしている新エネ政策では、グリーン電力及び熱証書化とセクター別アプローチ及びCO2排出権取引市場の開設などの具体策が盛り込まれる。

 福田康夫首相が、サミットに向けに発言した太陽光発電に対する助成策の再開についても、首相官邸から実務省庁である環境省と資源エネルギー庁へ回り、これまで準備してきたグリーン証書化などに集約されるとみられる。

 太陽光発電業界の一部で期待されている「住宅用補助金再開論」が、2005年度まで続いた補助金制度と類似するとは霞ヶ関の体質から見ても考えにくい。補助金制度が終了した後に自費で設置した人に対して国が無視してまで補助金制度を復活することはできないからである。

新たなグリーンエネルギー証書

 グリーン電力証書制度は、風力・太陽光・バイオマス等の再生可能エネルギーを変換して得られるグリーン電力の導入を促進することを目的に、電力需要家、消費者等が直接的に再生可能エネルギーの普及拡大に貢献する仕組みとして、平成13年度から電力会社の協力を得てスタートした。この制度は、グリーン電力を、電気そのものの価値と、発電する際にCO2排出がないことやエネルギー源の多様化に寄与する再生可能エネルギーに由来する価値とに切り離し、後者(再生可能エネルギー由来)を希望する電気の需要家が一定のプレミアムを支払うことを証書の形で保有し、再生可能エネルギーの需要家であることを広く社会へアピールできる制度である。具体的には、消費者が毎月支払う電気料金に一口500円を上乗せして支払い、この金額と同額をその地域の電力会社が負担して基金を作り再生可能エネルギー発電設備を建設する。平成13年度から始まったこの制度は、平成15年度末で43,000口の需要者が参加したが、平成20年1月末の時点では約34,000口の減少し、基金も毎年4億円と低迷している。

 他方、グリーン電力証書の購入企業は、平成13年度末の28社から平成19年12月には137社まで増加したもののその電力量はきわめて僅かであり、制度の見直しが俎上に乗っている。

 そこで資源エネルギー庁では、グリーンエネルギー利用拡大策としてグリーン電力証書制度を強化すると共に、新しく太陽熱やバイオマス熱利用を対象とした“グリーン熱証書”制度を加えることにした。だが、8月23日の段階ではグリーン電力・熱証書制度の具体的な拡充・強化策は見えていない。

普及策は、国と地方自治体の連携で

 ところが、東京都では、国のこうした動向に業を煮やし平成21年度から独自のグリーンエネルギー証書制度をスタートさせる。東京都では、都内の大手CO2排出事業者に対して排出総量を規制し、義務量を守れない事業者に対しては排出量取引市場での調達や、このグリーンエネルギー証書を割り当て(買取)ようと考えている。都では並行して都内の大規模開発事業には、省エネの徹底とともに自然エネルギーの設置義務化などの準備を進めている。幸いにも、国が後追いする形で再び太陽光発電などの普及に立ち上がることになった。好ましい形での連携と共存を期待したい。

 佐賀県では、平成19年度から住宅用太陽光発電設置者の団体であるPV−Netの協力を得て県内の太陽光発電設置者の太陽光発電システムが発電した電力のうち設置者の自家消費分を証書化して県内事業者へ販売を開始した。続いてこの4月から愛知県も同様なシステムをスタートさせた。

 京都府のように地域のエコマネー化で普及を促進しよういう自治体もある。京都府では、平成21年度から府民の省エネ実践効果と太陽光発電、太陽熱利用の自然エネルギー機器のCO2削減量を1kg当たり1ポイントとした地域通貨エコマネー制度をスタートさせる。

 このような新しい試み以外に多くに自治体が取り組んでいるのが、従来型の補助金制度である。この制度の多くが、国の太陽光発電、あるいは太陽熱の補助制度の上乗せ制度として始めたものだが、現在は地域のCO2削減政策として根付いたため継続されている。

 幸いにも前述の通り、国も再び太陽光発電中心とはいえ、“再生可能エネルギー”の普及の重要さに気づき、新たな普及策を打ち出すことになった。国と地方自治体が一体となって地球温暖化防止、あるいは環境問題の解決に歩調が合ってきた。


出典:「ソーラーシステム」 No.112/ (株)ソーラーシステム研究所


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